The Stone Roses 再結成からツアー後にバンドでアルバムを出すかと思っていたら、2曲発表しただけでおそらくまた解散してしまいがっかりしていたところで出されたフロントマン Ian Brown のニューアルバム 『Ripples』(2019)を聴いてみました。
前作の『My Way』までは様々なジャンルの音楽をサンプリングなどに代表されるヒップホップ的手法で作られたような伴奏に Ian Brown の浮遊感のあるメロディと透明感のある歌声を組み合わせたノージャンルで無国籍のまさに Ian Brown ミュージックと言える音楽がありそれはそれで大ファンだったので、本人のInstagramにニューアルバムを出すと出た時には結構楽しみにして待っていました。
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アルバムの1曲目は「First World Problems 」は先行配信で聴いていたのでギターがThe Stone Rose っぽくてバンドメイトのもう当然仲直りしている John Squire がギター弾いてるのかと思っていたら、日本盤のCDの解説を見てびっくり Ian Brown の息子がギターを弾いていて、ベースも別の息子が弾いているみたいです。
2曲目は「Black Roses」なのでオリジナル曲かと思いきや Barrington Levy のレゲエをカバーしてます。もちろんそのままカバーするわけはなく、Ian Brown 流にアレンジされていて原曲がレゲエだとは微塵も感じさせずカッコいいです。
3曲目の「Breathe And Breathe Easy (The Everness Of Now)」はアコギとタブラをバックに歌い上げるファーストアルバムの『Unfinished Monkey Business 』の中の楽曲 「Sunshine」を想起させる出来になっていて、4曲目の「The Dream And The Dreamer」はストレートなファンクナンバー、5曲目の「From Chaos To Harmony」まではワウギターを効かせたポップバラードといった流れになっていてこれもツボでした。
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7曲目のタイトルトラックの「Ripples」がもろ The Stone Roses の「Fools Gold」っぽいアレンジでやたらカッコいい曲です。
6曲目の「It's Raining Diamonds」、8曲目の「Blue Sky Day」、9曲目の「Soul Satisfaction」の3曲は前作の『My Way』や前々作の『The World Is Yours』の流れを汲んだ楽曲。
最終曲の「Break Down The Walls (Warm Up Jam)」はMikey Dread のレゲエのカバーでこちらは割とストレートにカバーといった形です。
加えて、このアルバムほとんどの曲で楽器のできなかった男 Ian Brown がほとんど演奏していて、他の客演は息子二人といった形のようで Unfinished Monkey Business ならぬ Finished Monkey Family Business といった趣です。
まとめると、これまで出したソロ作の延長線上にあり、ファンキーなギターによる伴奏中心のロックアルバムと言えて、おそらくこれまで意図的に避けていた The Stone Roses っぽさを自分たちファミリーで演奏し、リラックスした自然な状態で表出させた会心作で意外と癖になるアルバムです。