90年代のシアトルのグランジシーンが語られる際に必ず含まれているバンドの代表格はNirvanaを筆頭に、Soundgarden、Pearl Jam、Alice In Chainsなどがあり、それに付随した形で、Dinosaur Jr.、Sonic Youth、Pixiesなどのシアトル以外のバンドが語られる場合が多く、今回初めて聴いたバンドのScreaming Treesはついでといった形でしか日本の雑誌や他のミュージシャンのライナーノーツで紹介されていなかった。
正直言って、名前は目にすることがあっても流されてしまうバンドといった扱いで認知されているようでされていないという印象でした。その後の日本の雑誌の名盤特集にこのバンドが含まれていることは皆無だったので、むさ苦しい見た目も相まってほとんどの記者は聴いてもいなかったんじゃないかと。
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Nirvanaは別にして男臭い Pearl JamやSoundgardenが巻頭で特集が組まれることが稀で日本での人気がなかったことを考慮すると、なおさら無視状態だったと思う。
このバンドの名前を初めて認知したのがバンドが2000年に解散した後、Queens of the Stone Ageが2002年に出したアルバム『Song for the Deaf』にボーカルのMark Laneganが全面参加して歌っている曲を聴いたのがきっかけでした。その後2002年にバンドで来日した際にバンドのリーダーのJoshua Hommeの横でマイクスタンドを掴んでちょっと動きながら歌っている渋い声のおじさんといった印象でしかなかったです。
だけど、どうして今更2019年にもなってこのアルバム『Sweet Oblivion』(1992)を買って聴いたのかというと、ここ何年かシアトルのバンドを聴くことにはまっており、その流れでキャメロン・クロウ監督のシアトルが舞台の映画『シングルス』のサントラを買ったことがきっかけでした。
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このサントラを通して聴いた時に一番耳にひっかかったのこのバンドの1曲「Nearly Lost You」で、ベースがドラムのうねりがある種の特徴のシアトルのバンドとは全く違ったストレートなサウンドとメロディに強く惹きつけられたからです。そして、調べるとこの曲が含まれたアルバムが今作の『 Sweet Oblivion』だったので買って聴いてみたという次第です。
聴いてみるとこのアルバムがキャッチーなギターとメロディのストレートなロックがで満載で、変な話シアトルのバンドに親和性が近いとは言えず国の違う同年代のイギリスのバンドのThe Stone Rosesのストレートな楽曲に近い響きです。その後に出てくるOasisなどに代表されるブリットポップ期のイギリスのバンドだといってもおかしくないくらいです。
つまり、アメリカのバンドなのにコードもシンプルでアレンジも奇をてらったような感じがなくて全曲シングルで切ってもおかしくないくらいの出来です。このキャッチーな楽曲群にボーカルのMark Laneganの渋い声が本当にマッチしていてなおさら癖になります。
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もしThe Stone Rosesが解散した後にJohn Squireが組んだバンドThe Seahorsesの『Do It Yourself』が好きだったり、The Musicのファーストアルバムが好きだったら是非聴いてみてと薦めたくなります。
しかし、こんなにいいアルバムなのに何故当時から今まであまり日本では取り上げられることがほぼ皆無なのでしょうか。やはり日本人はルックス良かったり、グランジとしてパッケージングしやすいような肩書きのつけやすいバンドじゃないと聴かないということなんでしょうか。一般のリスナーはそれでいいですけど、、、。
まさに『Song for the Deaf』って感じです。あのアルバムもヒットチャートに登らずにNirvanaのDave Grohlが叩いてなかったら『Sweet Oblivion』と同じように雑誌で取り上げもしなかったんじゃないかと思っちゃいました。