特に映画を観ているわけではないですが、代表作『攻殻起動戦隊』で有名な押井守監督の書いたエッセイ/インタビュー集を読むことが好きなので、今回出た新刊も買ってすぐに読みました。
いつも読んでいるときは身につまされるような言葉が多いので、「ああ〜私の人生終わってるな」と焦燥感と取り返しのつかない恐怖を感じて恐れ慄いています。しかし、何故か読後に何も言葉が残らないのに、妙にスッキリとした変な爽快感をいつも感じてしまいます。
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特に読み終わって印象に残るのは、『友だちはいらない』、『やっぱり友だちはいらない』、『他力本願』、『凡人として生きるということ』、『コミュニケーションはいらない』などなど本のタイトルだけ。読む前よりも読んだ後の方がより強くタイトルが頭に残ります。
ある意味エッセイやインタビューの話し言葉でまとめられているので意識していなかったんですが、論文で使われる手法、最初にテーマを持ってきて展開しテーマに戻るやり方を使っていたからだと今回改めて考えたら気づきました。
つまり、タイトルの言葉と意味を説明するために本一冊を丸々使っているので、それが頭に強く残るのは当り前で、考えている意味がわかったことで読後感がスッキリするのも当然の話です。基本話し言葉をスッと読み流せてしまうことも、私が今まで恐怖を感じても本文中の言葉が残ってなかった原因かとも思います。私の頭が良い悪いは別にしたいですが、、、。
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それに対して、本書はタイトルが『押井守の人生のツボ』にはなっていますが、タイトルで意味を全て体現しているというよりも個々の人生相談の総称として使われているだけです。
ただ、注意して欲しいのが帯を見るといつもの調子なので、そこにいくつかテーマと言葉は全部明示されてしまっています。買ったら誰かに即外してもらって、読み終わるまで帯は見ない方法を取った方がより楽しんで読めるとは思います。
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ところで、本書の中でテーマとは別に珍しく心に残った箇所を紹介してみようと思います。本文通りではないですが、「目の前にそれなりの子がいても、もっといい子がいるだろうとキャンセルし続けるともう手遅れ」と言っているのですが、正に自分だと大笑いしました(私は告白されてもモーションかけられても逆ナンされても基本受け流してきてました)。皆さんもこうならないように気をつけましょう(私みたいな疑り深い社会不適合者タイプは少ないから余計なお世話か)。
もちろん、相談されたテーマの中で映画のことについても語られており、帯通り目からウロコがこぼれました。例えば、映画『ハスラー』について面白い視点で語られていて、この視点が的を得ていると共に、この映画以外で創作されたものもこの視点で見たら面白いと思いました。絵でも本でも漫画でもなんでもあるなと思って。この視点がなんなのかは本書を読んで確認してください。
それぞれのテーマを言うと面白く無くなるので、それも言えませんが、色々な人生相談があるので、それに対する監督の視点を自分と照らし合わせたり考えたりしながら開いて楽しめる本だと思います。今回も私にはやっぱり身につまされて、何だかためになることでいっぱいの面白い本でした。