『アストロノーツ・ファーマー』を思い出したきっかけ
先日『アド・アストラ』を観た際のポスターがなんか見たことあるな〜と思っていたのですが、自分のDVDの棚を見た際にこれかと納得してしまいました。それが2007年に公開された映画『アストロノーツ・ファーマー』だったのです。
そして、この映画のポスターと構図がほぼ一緒なのは、ブラッド・ピット主演のあっちへの皮肉みたいで笑ってしまいました。なぜなら、ブラピの前妻のアンジェリーナ・ジョリーの前夫が今作の主演のビリー・ボブ・ソーントンだったからです。
つまり、映画のポスターが偶然なのか、意図的なのかはわかりませんが、内容は全く違うのに似ているという変な一致を見せているからです。もしかしたら、このポスターの製作者のいたずら心なのではとなんだかニヤニヤさせられます。
スポンサーリンク
奇抜な設定だがよく練られた映画の内容
映画自体は、農場に妻と養父、息子一人と娘二人の六人家族で暮らしている元空軍パイロットのチャーリー・ファーマー(ビリー・ボブ・ソーントン)が主人公になっています。
そして、主人公の夢は夢半ばにして諦めた宇宙への挑戦を自家用ロケットにて達成することで、映画はそのロケットがほぼ完成していて農場から出発するためにあとは燃料を手に入れるだけのところまで来ているところから始まります。
その燃料を手に入れるための手段やお金の工面、NASAではなくて民間人がD.I.Y精神満載で勝手にロケットを飛ばそうとすることで起こるFBIなどとの軋轢や、マスコミや周囲からの冷やかしなどを成功いかんにかかわらずどう乗り越えていくかが現実的にもほとんど矛盾なく上手に描かれています。
例えばなんですが、元空軍パイロットの設定や重力に耐えるために遊園地にあるグルグル回る遊具を使うところなどは、変にリアルで変に実践的です。日本人のお客さん宇宙飛行士とは違って基本的にアメリカの宇宙飛行士は軍のパイロット出身者が基本でエンジニアの博士号がなければなれませんし、グルグル回る遊具はNASAの訓練で使われる遠心力で負荷をかける訓練装置と原理は全く一緒です。
スポンサーリンク
つまり、どうすれば一個人が自分の農場からロケットで宇宙に行くのかが、コメディタッチで描かれているのにかなり真剣に考えて映画自体は作られているので、いきなりロケットがある状態でも不自然ではないです。ロケットの製作に何年もかかっていることもわかるように作られていますので。
だから、ロケットを製作する過程を楽しむ映画ではなくて、ロケットを飛ばす直前にお金の問題や周囲からのプレッシャーの問題が、自分を含めた家族に対してのしかかってくることを楽しむ映画でもあります。
また、他にも色々伏線がありますが、しっかりと回収して行くのでブラピのあの映画とは違って論理的に矛盾なく物語は進んでいきますので、そこはご安心ください。
スポンサーリンク
矛盾のない物語でも少し気になってしまうところ
しかし、それでも少し気になるのが俳優たちのやや過剰になっている演技で、主演のビリー・ボブ・ソーントンを始め、ブルース・ウィリス、J・K・シモンズ、妻役のヴァージニア・マドセンなどがなんかカッコつけてるように感じる演技がやや目立ちます。周りの人たちへのカット割りもややダサい演出でウワとなりますが、ギリギリB級映画にならないのは、あくまでコメディ映画でわざとそういう演技をさせている感もあるからです。
加えて、カメオ出演している監督のポーリッシュ兄弟はあくまでふざけた演技をしてますしね。それでも、子役の3人の子供たちはやたら自然な演技をしているので、やっぱり子役はどこの国でもすごいなと思いますけど、、、。
スポンサーリンク
最後にこの映画の一番の魅力
しかしそことは別に、この『アストロノーツ・ファーマー』は夢を叶えることと家族がテーマの映画で、自分でやってみる精神に基づいたアメリカンヒーローの映画です。
そして、マイケルとマークの双子のポーリッシュ兄弟の監督脚本映画なので当然コメディ映画になっているところが肝で、SF宇宙映画では珍しいコメディ設定の映画です。
また、ここで勘違いしてはいけないのが、あおり文句になっている「夢を追い続けた男の壮大なSFエンターテイメント」に騙されてシリアスな映画だと真剣に見過ぎたり、笑わせるコメディ映画だと思って変な期待をして観ることです。
従って、あくまで笑劇ではない喜劇としてのコメディのなので、半々の気持ちで観るぐらいがちょうどいいハートウォーミングな内容の映画だということです。だからと言ってつまらない映画ではなくかなり感動させる作りの映画にもなっておりますので、こちらもご安心ください。
アストロノーツ・ファーマー/庭から昇ったロケット雲 [DVD]
- 出版社/メーカー: NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
- 発売日: 2008/12/12
- メディア: DVD
- クリック: 23回
また、おそらく『インターステラー』(2014)の元ネタになっている映画なので、いろいろな相違を確かめると面白いかもしれません。主人公の目的は一方が地球を救うことで、他方が自分のロマンを実現することですが、同じ元空軍パイロットの農家でアメリカンヒーローと家族が共通の設定とテーマになっているので、見比べて見ることをオススメします。
ちなみに、同じ元妻がいて同じ宇宙映画でもブラピのあっちとこっちじゃそもそも格が違うんだよなあと、改めて本作を観て思いました。やっぱりあっちはパクリすぎだし、矛盾しすぎです。あれを観て辛かった人は本作『アストロノーツ・ファーマー』か『インターステラー』を観ることをオススメします。あ、『ガタカ』もいいですよ。