インターステラーは2014年にクリストファー・ノーランが監督で公開された映画。
当時は繰り返し観てパンフレットまで買ってしまった。何度も観た人間がいうのも変だが、この映画のストーリーには特に目新しい点はほとんどない。ストーリーは滅亡の危機に瀕した地球から新しい星へ向かうと言ったよくある内容で、いたってシンプルな内容。
また派手なCGやアクション、凄惨な殺し合いやドンパチと言ったハリウッドっぽさもない。ある意味淡々と映画は進んで行くだけだ。役者も抑えめの演技である意味静か。
しかし、何故そのようなシンプルな映画に夢中になったのだろうか。
この映画には実在の人物や物をただ映画的再現にだけ終始することやよくあるような密室会話劇ではない点も強く、また科学に疎い人のための説明も一切ない。
それにもかかわらず映画は家族愛を軸に科学の力で3時間近く続く。つまり、映画の中では進んでいくストーリーのために必要なこと以外一切表現されていないということである。
だからと言って内容が薄い訳ではない。全編通して続く緊張感と話の密度は内容として非常に濃い。そして、そのために観ているとなんでだろうと常に考えてしまう点も非常に面白い。
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加えて、映像と音の効果も凄まじい点も見逃せない点だ。
クリストファー・ノーラン監督は完璧主義者であり安易なCGは極力使わないことでも有名(バットマンにおけるスタジアム爆破やダンケルクの飛行機シーンは全部実際に行なった)。
例えば、映画の中で地球にいる主人公たちは何度も砂嵐に遭うのだが、この砂嵐はCGで作ったものではなくて人工的に起こした砂嵐。
つまり、役者たちが本当に巻き込まれた状態で演技をさせている。この場面のために無害で食べてもOKなチップを作成し砂として送風機で砂嵐を巻き起こしたそうだ。この部分はDust Bowlという実際にアメリカであった自然災害で1930年頃のスーパー人災のドキュメンタリーを参考にしている。
また、この監督はCGによる手抜きもやっぱり一切なし。
他にも宇宙時間と地球時間のズレやブラックホールと多次元についても本作の脚本家で監督の弟でもあるジョナサン・ノーランがわざわざ何年もかけて理解するために学校にまで通って撮影したそうで、物理学者の人が観ても矛盾はないらしい。
そして、今作のための科学的なガイドブックまでも作られている。だから、宇宙のシーンで使われているブラックホールと多次元や時間軸の描写も科学的に現時点で矛盾が一番ない映画と言えるだろう。
そして、この監督の一番の特徴といえばやっぱりIMAXフィルムを使った撮影。
このフィルムは元々ドキュメンタリー用に作られたフィルムで解像度がデジタルの4Kに対し12K以上であることとフィルムの幅が大きいのでカメラで捉える範囲が非常に大きいということで、範囲が広がって荒くなる部分が増えることはなく全てが鮮明だということが特徴だそうです。ただし、世界でもこれ用のカメラが数台しかないのとフィルムの維持や撮影が非常に困難で高くつくのが玉に瑕らしい。
また、フィルムを上映できるスクリーンが年々減っていることとデジタル化の流れと逆行していることも撮影で使われない一因となっている。しかし、デジタルの方がなんでもいいようだが、フィルムの方がまだ上なのはIMAXフィルムについて知った時にとても驚いた。
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だからと言って、解像度が4KのIMAXデジタルで上映された映像がダメかと言ったらそんなことはない。当然IMAXフィルムシアターで観れるなら、それが一番いいに越したことはないですが、、、。
例えば、この作品が元々4Kでそれを12Kに変えるとなるとかなり無理があるだろうが、元々12Kだったものを4Kにしているので見苦しくはなっていない。逆に、普通の映画の映像より鮮明すぎるくらいだ。
最後に言えることは、
この映画の中ではたくさんの「もし」を説明はしないが科学的に検証して作られた部分と極力CGを使わないことで役者たちが実際に体験しながら演技した部分をバランスよく組み合わせた監督の手腕と、それらをIMAXフィルムによる撮影で塊にした臨場感が常に畳み掛けてくる映画と言えるだろう。
あえて。ストーリーの説明はしなかったが、宇宙モノの映画へのオマージュで映画自体は埋め尽くされていて、この映画を観て他の宇宙映画を観てと繰り返し観るような楽しみ方もできる(ちなみにサウンドトラックもかっこいいのでオススメ、買ったサントラ BOXもキラキラ光る)。
まとめると、インターステラはただ普通に観ても面白いがちょっとでも映画の中で考えるとより深く広く探求できる映画ではないだろうか。