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昭和の香り漂う日本映画『めし』(1951)

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 『めし』(1951)は有名な成瀬巳喜男監督作なのに全く観たことがなくて、主演が原節子なのは知っていたので、いつも観ようかどうか迷っていている内に観ないでいた作品だった。

 内容は当時では珍しい恋愛結婚で大阪に住んでいた夫婦が、迎える倦怠期が主要なテーマとして描かれていて、上原謙の演じる夫の姪が縁談がいやだと東京から転がり込んできたことで生まれる夫婦生活の軋轢を描きつつも、戦後間もない日本の風俗がよく伝わってくる。

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   また、場所は主演の妻役の原節子を大阪から東京と動かしながらうまく進めていき、夫婦の話なので家の中だけの密室劇で終わるような安直なことをせずに町を歩かせたり電車に乗ったりさせながらテンポよくストーリーを進めていきます。

   俳優の演技もわざわざ状況を説明するためのセリフなどもなく風景や微妙な表情や仕草で感情を表現するので観ていて逆に感情移入しやすく、演技も抑えめで淡々と進んでいくので観ていて疲れないです。

  おまけに、戦後間もない日本の風景がこの時代の映画監督では珍しくロケで撮影されているので、観たことのない日本がたくさん残っているので面白いです。大阪は道頓堀の風景や周辺の商店街の賑やかさが映っていたりするし、川崎や東京の殺風景なところにだんだんと人やお店が集まってきていることもはっきり映し出されていて面白いです。二人だけのチンドン屋なんて出てきます。

   そして、一番不思議に感じたのが車も自転車もほとんどない点で、人だけで道が埋まって動いているので、変な感じがして交通事故の心配がないとこんなにも人は自由に四方八方に動いていいんだよなと羨ましく感じられました。 

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  映画とは直接関係ないが、やっぱり車ってみんなに必要かなと思ってしまった。車がなければ動ける範囲の中で生活しようとするので、その中で人の往来が生まれて近くにお店がある方が便利だから商店街が発達しやすいですよね。その中のやり取りだけで、食べて行くだけだったら生活しやすいです。

   目先の便利さに囚われた結果の今は周りに何もなくなって却って車がないと不便だなんてことになってますしね。おまけにそれで事故の危険性が高まるんですから。全く何も考えないで戦後何十年行動して、責任を放棄していった結果がこうなんですから。

   映画とは関係ない話になってしまいましたけど、この映画をみてそんなことを思ってしまいました。もちろん映画は今では失われてしまった日本の風情があって素晴らしいですよ。本当にうらやましい限りでございます。無い物ねだりですが。

 

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