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本当におもしろい漫画のおすすめ『大相撲SF超奇伝 五大湖フルバースト』&『えんこうさん』西野マルタ

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[まとめ買い] 五大湖フルバースト ―大相撲“心・技・体”伝説2―

 今回リイド社(ゴルゴ13のさいとうたかおの出版社)より7月に単行本が発売されていたことを知って、急いで購入した漫画が西野マルタ作の『えんこうさん』です。貪るようにして読みました。

 内容は「相撲と河童」を軸に書かれた三つの短編をまとめた単行本です。「相撲と河童」と聞いても荒唐無稽の整合性の取れていないくだらない漫画のような気がして最初から読む気が失せるかもしれません。

 実際、帯には「人間対河童」、「『五大湖フルバースト』 鬼才が描く異種角闘大戦 三番勝負」と書かれているのですが、この帯を読んで買う人は昨今の萌えキャラ漫画に飽き飽きしてつい手に取った人か、西野マルタのデビュー作『五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇』(2012)を読んだことがある人以外いないのでは。

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 しかしながら、前作『五大湖フルバースト』を読んだことがある人は必ず買うはずです!!

 それはこの漫画も面白いだろうと期待させる力が前作『五大湖フルバースト』にあったからです。それに反して、悲しいことに前作を読んだことのある人が少ないのも事実でしょう。

 前作のデビュー作が「日本で生まれた相撲が近未来のアメリカのデトロイトで国技となり隆盛を極めているも、無敵の横綱五大湖が病気によって衰えた自らを鉄の塊のロボット横綱に改造する。その後“技術”(テクノロジー)によって暴走を始めたロボ横綱五大湖を止めるために、200年前に石像として封印された日本の伝説の横綱を三種の神器によって復活させて戦う」“技”編と、「薬物投与と遺伝子操作によって誕生した“肉体”の悪魔リヴァイア山によって危機を迎えた日本相撲界。その危機を救うために、木像となって封印されていた真の横綱を復活させて戦う」“体”編の二編を上下巻としてまとめられた漫画が、『大相撲SF超奇伝 五大湖フルバースト』となっています。説明が濃くて長い!!

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 西野マルタ先生の圧倒的な画力と熱量がすごい!!

 正直読むまではあまりにも内容の組み合わせがめちゃくちゃなような気がしてました。つまり、とんでもない漫画で、つまらない、くだらない、絵が汚いの最悪の漫画を想像していました。

 しかし、やたら書き込まれていて、ぱっと見何が書かれているのかわからない金銀の上下巻を買ってから、ページを開いて読んだ時にいい意味で期待が裏切られました。

 なんと質の高いアメコミのようなカッコよくデザインされたキャラクターの絵が目に飛び込んできたからです。それと共に読みやすくしっかりと作られたコマ割りで描かれていたのにも驚かされました。

 加えて、奇抜な設定だけではなくて、重層的な内容の読み応えのある素晴らしい漫画です。キャラクターの対戦だけを追っても楽しめる面と、親子の問題や強さとは、思いやるとはと言った普遍的なテーマも盛り込んであり、何度読んでもおいしいし、本当にすごい漫画だったからです。

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 それとともに悲しい現実がこの漫画にはあります

 その理由が知り合いに勧めようと思っても本屋が軒並み閉店しているのと、本屋にもあまり置いてないからです。

 でも、最近の漫画は読んだらくだらない漫画ばかりだと辟易している人には必ず勧めています。(今だと漫画自体は増版されていないようなので、Kindleで読むか中古で買うしかないと思いますが興味を持ったなら是非読んで見てください!!

五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 上 (シリウスKC)

五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 上 (シリウスKC)

  • 作者: 西野マルタ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/02/09
  • メディア: コミック
  • 購入: 8人 
 

 

五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 下 (シリウスKC)

五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 下 (シリウスKC)

  • 作者: 西野マルタ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/02/09
  • メディア: コミック
  • 購入: 8人 
 

 

 最新作『えんこうさん』を読んだ感想は

 そこまでハマった西野マルタさんの漫画ですが、ご本人がおそらく週刊連載や月間連載で無理くり描いた結果、消耗し漫画の質が落ちるのが嫌なんだろうと想像に難くないのと、ある程度まとめて書いた形でしか発表したくないのだろうと。ですので、元々貸本漫画の単行本出版の伝統で理解のあるリイド社からの出版はうなづけました。

 前置きの方が長くなりましたが、新作の『えんこうさん』も「相撲と河童」の奇抜な設定に今回は河童の好物や河童の言葉に別の意味を絡めたちょっと笑える内容やいじめ問題などにも徹底的に相撲を絡めていきます。なので、この作品も表面的に楽しめる面と深読みできる面が程よくまとまっていました。

 つまり、前作よりもある種さらっと読みやすく、もちろん面白かったです。これから初めて西野マルタ作品を読むための導入編としてオススメです。この漫画も素晴らしいですが、早く『五大湖フルバースト』の“心”編が読みたい。急かすつもりではないですが、西野マルタさん早く次をお願いしますとより気持ちが強くなったのでした。

えんこうさん (SPコミックス リイドカフェコミックス)

えんこうさん (SPコミックス リイドカフェコミックス)

  • 作者: 西野マルタ
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: コミック
 

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